遮熱と断熱の違いとは
- ononoono28
- 2023年8月30日
- 読了時間: 3分

遮熱と断熱の違いとは
断熱は「伝導熱」が伝わらないようにすることで
遮熱は「輻射熱」が伝わらないようにすることです。
伝導熱とは、触れているものどうしで移動する熱です。
暑い夜、冷たい壁に体をつけるとひんやりして気持ち良いですが、その時体の熱が壁に移動しています。
断熱材で家を包んで、「断熱等級6です」とか「UA値は●●です」といって示されているのは、家の周りの空気から伝わる伝導熱をどれくらい通さないかという性能になります。
一方、輻射熱とは、物体から出ている見えない電磁波のようなものです。というより、電磁波そのものです。太陽光も輻射熱の一つです。
熱されたアスファルトなどは手を近づけるだけで熱気を感じますが、アスファルトそのものが熱の電磁波(熱輻射)を発しているからです。
アスファルトから飛んできた輻射熱は、着ている服で一部反射し、一部服を暖め、一部透過して肌まで届きます。
外壁は白でも黒でもおんなじ?
輻射熱は非常にややこしいです。
古本屋で電熱工学の本を何冊か買って読んでみましたが、2行読み進めるごとに前の2行分の記憶を失っていました。
奇跡的に残った記憶のよると、
白いものは反射して黒いものは吸収すると思っていたのですが、どうやら違ったようです。
目に見える光(可視光線)の範囲内だと白いほうが反射するのですが、赤外線などになってくると、(物質によって違いはありますが)白も黒も同じくらいのものなようです。
太陽光には可視光線だけでなく多くの赤外線も含まれています。
そのため外壁は白でも黒でも結局同じくらいの熱を吸収していたということになります。
しかし、金属は違います。
金属は赤外線でもしっかり反射しており、特にアルミの反射率は非常に高く、研磨した状態だと波長9.3μmの輻射率は0.04です。ちなみにコンクリートの輻射率は0.94です。
(遮熱シートの製品説明サイトには反射率99%と書いてあるのは誇張してしまっているのでは…)
アルミで出来たペラペラのシートは一見熱を通しそうですよね。
実際、アルミの熱伝導率は235W/mkで、セルローズファイバー0.04と比べるとめちゃくちゃ伝導します。
しかし、輻射熱の反射で比べるとアルミはトップクラスに優秀な素材になります。
快適な家を考えるには、断熱だけでなく遮熱も重要な要素となることは間違いありません。
ちなみに、グラスウールなどの繊維質の断熱材は、伝導熱はそこそこですが、輻射熱は遮熱出来ません。隙間がたくさん空いているから透過してしまうのは当然ですね。
なので輻射熱に弱い断熱材の外に遮熱シートを貼ると効果は絶大です。
余談ですが、
「セルローズファイバー200㎜」と「グラスウール200㎜+遮熱シート」に赤外線ライトを当てる実験を行った結果、グラスウール+遮熱シートのほうが、ライトが当たる面の反対側にある温度計の上昇が早いという結果が出ました。
おそらくセルロースファイバーの蓄熱性能が活躍した結果だと思われます。
厚みが100㎜だったら違った結果になったかもしれません。
Comments