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基礎蓄熱床暖なのに寒かった理由

「基礎蓄熱床暖を使用しているけど寒いから床下にセルロースファイバーを入れてほしい」というご依頼でした。


基礎蓄熱床暖って寒かったのかーくらいの気持ちで床下に潜ってみると、なぜ寒かったのかすぐにわかりました。


① 基礎断熱が剝がれかけている。

基礎内の断熱としてカネライトフォーム50㎜を使用していましたが、経年劣化のせいか初期不良化はわかりませんが、基礎との間に隙間が出来て剥がれかけていました。

間が空いてしまったら断熱材としての役目を果せていません。

床下空間を温めても、この基礎から外に熱が逃げていた可能性があります。

このような箇所が数か所ありました。

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② 基礎の天端や下端に断熱が無い

しっかりした基礎断熱されている場合は、基礎の上下だけでなく土台の木材内側にも断熱をしています。

基礎蓄熱床暖房を採用するうえで、断熱の徹底が足りなかったように見えます。


③ 仕切り壁を通って天井裏に熱が逃げていた。

これが一番大きな原因だと思うのですが、根太の上の合板が仕切り壁の中まで張っていないので、根の間から仕切り壁の中まで空間が通じていました。

よく「気流止め」と言われるものをしていないということになります。

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ちなみに、新築時からセルロースファイバーで天井断熱をされているそうなのですが、仕切り壁の中を通ってセルロースファイバーが床下まで落ちてきていました。

つまり、天井裏空間とつながっていることが分かります。

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基礎空間を温めて出来た熱は床を温める前に仕切り壁の中を通って天井裏に抜けていっていたようです。



④ 壁断熱材に隙間

最後に、土台の上あたりの壁断熱が下まで入り切っていなかったので外壁の合板が触れる状態になっていました。

この断熱欠損部分からも床下空間の熱は多少ですが逃げていたと考えられます。

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アラを見つけることで工務店に不信感を持ってしまう


これらの事柄を施主様に話すかどうか迷いました。

これらの問題はセルロースファイバーを床下に吹き込めば全て解決出来ることだったからです。

建て主から工務店へのクレームの話を聞いていると、一度何かで不信感を持ってしまったら疑心暗鬼に陥ってしまってあらゆることを疑ってかかってしまうことが良くあるみたいです。

未だ現代であっても建物は不確実なところが多く、多岐に分かれた専門性を集合して作られています。限られてた予算の中でどこを取ってどこを取らないかとやりくりしながら作り上げるものでもあるので、疑い始めたらキリが無くなってしまいます。すべての専門分野を自分で勉強して網羅するわけにもいきませんから、結局ある程度から先は工務店や担当者を信用するしかないと思っています。

突き詰めて探せばなんにでもアラはあります。それらのアラを指摘した後に、責任をもってすべてのアラを修繕できるならまだいいと思うのですが、一断熱業者が断熱以外の修繕も出来ないのに、家全体や工務店への不信感を煽ってしまうと全員不幸になってしまうと思っています。


なので、今後リフォーム現場に入った際もアラを見つけた場合、命にかかわること以外であればそっと直せる範囲で直しておきたいところです。






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