断熱材比較実験器(屋根断熱)
- ononoono28
- 2024年8月31日
- 読了時間: 3分
工務店様と共同で断熱材比較実験器具を作製しました。
非常にシンプルなもので、200㎜厚の断熱材を入れた箱を5つ連ねて、真ん中でパッカンと開けるようにしてあります。
しばらく熱に当てて、その後開いて、中を赤外線カメラで撮影するという形になります。
野外に長時間おいて熱の通り方を見るもよし、ホッカイロを置いて熱伝導を比較するもよしですが、工務店様のモデルハウス来場者に見てもらうとき、短時間で結果が分かるようにしたいということだったので、熱源は爬虫類ペット用の「明かりの出ない赤外線ライト200W」を使用しました。


[留意点]
①赤外線ライトだったら輻射熱が強いから伝導熱だけの比較じゃないじゃないかと言う方もいると思いますが、私は普段垂木の下にシートを張っていますが、屋根からの輻射熱バリバリ受けて汗ダラダラです。ガルバだったら多少遮熱すると言っている方もいましたが、正直体感的には瓦よりガルバのほうが熱く感じます。
輻射熱は太陽光だけでなく、あらゆる物体が発しています。
なので、断熱材は伝導熱だけでなく輻射熱も受けているという前提で赤外線ライトを使用しました。
(赤外線ライトを使用する前はホッカイロを使用したのですが、5つのうち1つだけ発熱が弱いなどの事態が起きたことと、結果が出るのが遅いという理由で強めの赤外線ライトを用意しました。)
②光のでない赤外線ライトを用意しましたが、やはり真下だけでなく隣の断熱材にも熱が影響してしまっているので、真ん中の方の断熱材は不利になっています。
③逆に太陽光の下に出した時、太陽の傾きが変わって、どちらかの端の断熱材が横から熱を受け続けるなんてこともは発生しました。
④早く結果が出るように強力な熱源を使用しているので、実際の屋根で同じような結果になるかは分かりません。
[90分当てた結果]
今回比較した断熱材は左から、
硬質ウレタンフォーム(以下ウレタンボード) 熱伝導率:0.019W/mK
吹付け硬質ウレタンフォーム(以下吹付ウレタン) 熱伝導率:0.038W/mK
ロックウール 熱伝導率:0.038W/mK
高性能グラスウール16K 熱伝導率:0.038W/mK
セルローズファイバー 熱伝導率:0.040W/mK

[ポイント]
①ウレタンボード0.019とグラスウール0.038を比較したとき
熱抵抗値を揃えようと思ったらウレタンボード100㎜とグラウウール200㎜が同じ熱抵抗となります。
グラスウールは200㎜まで熱が到達していませんが、ウレタンボード100㎜ラインには黄色まで熱が到達してしまっています。ちなみに、グラスウールは輻射熱に対して非常に弱いのに、です。
つまり「同じ熱抵抗値でも厚みがあるほうが熱が到達するまでの時間が稼げる」のかもしれません。
②他の断熱材とセルローズファイバーの違い
※セルローズファイバー施工業者なので、わが子はどうしても贔屓目で見てしまっています。
他の断熱材が155㎜ラインまで熱が達しているのに対して、セルローズファイバーは100㎜あたりまでしか熱が伝わっていません。
この理由は、単純に空隙が細かくて輻射熱に対して強いというのもあるかと思いますが、セルローズファイバー特有の「蓄熱×断熱=温度伝導率の低さ」という特性が表れたのではないかと考えられます。
[今後の実験]
今頃モデルハウスで活躍してくれているであろう実験器が帰ってきたら、天気の良い日に実験器を太陽のもとに出して、太陽に合わせて動かすようにして、上にガルバを置いて一日の熱の伝わり方を見てみようかと考えています。
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