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遮熱シートを壁の中に入れたら、冬により暖かくなるのでは?

試してみたかった実験をしました。


外壁の耐力面材側とセルローズファイバーの間に遮熱シートを張って、室内側からの熱を跳ね返せれば、冬により暖かくなるのでは?というものです。


遮熱シートは基本、ギンギラの面で輻射熱(光とか電磁波とか)を跳ね返しています。

ギンギラの面にぴったりくっついていると、輻射よりも伝導で熱が伝わってしまうため、効果を発揮できません。

そのため、ギンギラの面の側に必ず空間(通気層など)を設けるようにして使用します。


ただ以前、セルローズファイバーを鉄骨造の建物に充填する際、鉄骨に遮熱塗料を塗っておけば、結露リスクのあるところでも結露しない。らしい。という話を聞きました。

もしそうなのであれば、もしかしてセルローズファイバーに繊維の空隙があることで遮熱塗料の効果を発揮させることが出来ているのでは!? と考えました。

ということは、セルローズファイバーにぴったりくっつく形で遮熱シートを張っても、効果が期待できるのでは…?


と、いうことで以下の図のような具合で遮熱シートを入れることを考えました。

ここに遮熱シートを張れば室内の熱をより、外に逃がさなくなって、断熱の厚みを増やさなくても性能アップを期待できるのではないか。そしてセルローズファイバーシートを張る前に面材側に遮熱シートを張るくらい簡単に出来るから簡単に性能上がるのなら良いのでないか。と考えました…。

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実験器具を作ります。

まず105㎜の壁を想定して、全く同じサイズで105㎜厚のセルローズファイバー

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右側には遮熱シートを張りました。

いつも使っているタープホイルです。

現場で使った切れ端なので若干シワがありますが、性能に問題はありません。

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右が遮熱シートを張っているボックスです。

素材によって赤外線の出方が違うので、両面一緒にセルローズシートを張りました。

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下のボックスの中心には電球を入れています。

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完成した実験器具はこんな具合です。

電球のある側を室内と想定して、温度を上げます。

その熱がどのように外に伝わるのかを赤外線カメラでチェックします。

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室内にしばらく放置して温度を一定にした状態で実験スタート。

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約2時間で電球の下は37.5度になりました。

電球の上はもっとずっと高温になっているはずです。

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約2時間後、表面の温度を測ってみました。

SP1(遮熱シート無し)31.6℃

SP2(遮熱シート有り)31.9℃

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同じくらい。

それどころか、遮熱シート有りの方が若干高い結果となりました。


遮熱シートを張っている方は、遮熱シートの効果なのか、外気側に熱が逃げずに表面に熱がこもっているのかもしれません。


と、いうことは、結露計算をすると一番結露しやすいという結果が出るセルローズファイバーと面材の間の温度が上がってしまうということになります。

つまり、すこしだけは熱が外に逃げずらくなるかもしれませんが、その分冬の結露リスクを上げてしまうということが分かりました。


セルローズファイバーにぴったりあたる形で、耐力面材側に遮熱シートを張ることは、やらないほうが良さそうです。


遮熱シートを張るなら、暑さ対策なら面材の外で通気層の手前(タイベックシルバーが既によく使われている)か、寒さ対策ならセルローズファイバーより室内側のボード胴縁下とかなのかもしれません。


期待した結果と違ってちょっと残念ですが、リスクが分かっただけでも実験して良かったのかもしれません。



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