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ウッドファイバーを自宅で吹き込んでみた①(熱容量について)

更新日:2022年10月1日

今回、初めてウッドファイバーの吹込みを試してみました。

失敗しても大丈夫なように自宅に壁を組んで吹き込んで感触を確かめました。


まず材料のウッドファイバーについて


ヨーロッパの「STEICO(シュタイコ)」という会社の「zell(ゼル)」というウッドファイバー

日本で今唯一の吹込み用ウッドファイバーらしいです。(2022年7月)

吹込み用ウッドファイバーはこの輸入製品しかなく、日本製はまだ生産できていないそうです。

製材所などで出た木っ端や間伐材を利用して作られ、(シュタイコかはわかりませんが)工場によっては工場の水力発電で製造電力をすべてまかなっているそうでして、材料・製造・製品の役割すべてが環境に優しいという素晴らしい断熱材です。

ただ人の財布にだけは優しくないようで、セルローズファイバーの2倍ほど価格がかかってしまいます。


ではそれだけ良いウッドファイバーですが、セルローズファイバーとどこが違うのか。

(シュタイコゼルを輸入している㈱池田コーポレーションのサイトを参考)

 https://mokudannetsu.com/


まず性能について、


①熱容量が高い・・・?

(参考サイトでは熱容量をJ/(kg・K)と表記していますがJ/(kg・K)は正確には比熱です。㎏あたりが比熱で、熱容量は比熱×質量㎏でJ/Kとなります。)

セルローズファイバーの比熱は1940J/(kg・K)で、ウッドファイバーは2100/(kg・K)です。


容積比熱にすると少し状況が変わります…。

比熱とは「物質1㎏(もしくは1g)を1℃上げるのに必要な熱量」で、

容積比熱とは「比熱×密度(㎏/㎥)」です。


そしてセルローズファイバーの吹込み密度は55㎏/㎥以上ですが、ウッドファイバーは繊維が比較的硬いため50㎏/㎥以上が基準とされているので、それぞれに密度をかけると


セルローズファイバー 1940J/(kg・K)×55kg/㎥ =106 kJ/㎥・K

ウッドファイバー   2100J/(kg・K)×50kg/㎥ =105 kJ/㎥・K


容積比熱にすると実はセルローズファイバーのほうが若干高くなってしまいました…。


ちなみに、よく使われているグラスウール10Kの容積比熱は8.4kJ/㎥・Kなのでセルローズファイバーもウッドファイバーも圧倒的に違いますね。



そしてついでに、これを熱容量で比較した場合…

セルローズファイバーだと、新築一軒あたり大体80袋~120袋くらい使うので、平均100袋として一袋当たり15㎏入っているので、一軒当たり1500㎏の断熱材が入っています。

ウッドファイバーだと1500㎏÷55㎏/㎥×50㎏/㎥になるので、1364㎏ほどになります。


セルローズファイバー 1940J/(kg・K)×1500㎏ =2910kJ/K

ウッドファイバー   2100J/(kg・K)×1364㎏ =2864kJ/K


家一軒の断熱材の温度を1℃上昇させるのに2864~2910kJくらい必要になることになります。

ちなみにグラスウール10Kをセルローズ


ファイバーと同じ体積だけ入れるとすると、


グラスウール10K  2910kJ/K÷106 kJ/㎥・K×8.4kJ/㎥・K =230.6kJ/K となり、ウッドファイバーの1/10以下となります。


続く…







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